いよいよ飛ぶ瞬間が、近づいていた。
後ろでは、スカイウォークをする日本人のグループが、タワーの外に出て来てギャラリーしていた。
日本語で声援を送られて、だいぶ落ち着きを取り戻した。
これは本当に助かった。
踏切板の最前列に突き出された時、あまりにも常軌を逸していたので、
「 これ ホントかよ ⁈」
と言ってしまった。
もう、前にも横にも、誰も人が居ない。
最前列 センター!!
後ろではスタッフが、カウント前なのでロープを掴んでいたのだろうが、その感覚も伝わって来ない。
正に 独りぼっち。
孤独との闘い。
スタッフが、下見ちゃダメー! 前見てー! と言っていたが、前を見れば 何となく下も見えてしまう(笑)
後ろではギャラリーが「頑張れー」とか勝手な事をぬかしてやがる。
お前ら全員、覚えてろよ!
絶対に生還して、文句言ってやるからなー! だってwww
みんなでゲラゲラ笑って、少し場が和む(*^^*)
推しは勝手だよねー (≧∇≦)
推される者の、身になってみろっての!
飛ぶ時には、何でもいいから叫んだ方が、気を失わないからと良いという、恐ろしいアドバイスを受けていたのを思い出し、やるべき事を思い出した。
なんで乃木坂46なんか、好きになってしまったんだろう?
好きにならなけりゃ、こんな事やらずに済んだろうに。
だったら僕は、
「 13枚目シングル ヒットしますように! 」
あと、これだけは言っておかないと、
「 乃木坂46 紅白出場おめでとう!! 」
ひとりシングルキャンペーン なう。
言葉を発して、また少し落ち着きを取り戻した。
日本人の兄ちゃんらが後ろに居たので、さすがに大声は出せず、やや抑えた感じになってしまったが、その分 心で叫べたから、まあ いいだろう。
意外と冷静に周りを見れていたので、これなら
いける!!
と確信した。
ただ、前を向くと とんでもない景色が広がっているので、土壇場で、
これ、ホントに飛ぶの? これって現実?
と おかしな事を思ってしまった。
それと同時に、自分の脳や体全体が、
やめろ! 行くな! 早く「やめます」と言え!
と 激しく命令してくる。
これも初めての体験。
すまない。俺の脳。
ここまで来たら、引っ込みがつかんだろ?
逝かせてもらうよ。
僕は、自分の脳を裏切り、そして謝ったw
OH! 脳~~!
これ、言わなきゃ良かったね σ(^_^;)
さあ カウントダウン!
この時も、最後の最後まで、
これ、ホントに行くの?
ホントに行くの?
と ずっと思っていた。
5 !4 ! 3 ! 2 ! 1!!
何か言葉を発しようと思ったが、全く声が出ない。
僕は無言のまま、まだ見ぬ世界へ 飛び込んで行った。
つづく