料金を支払った後は、あれよあれよと準備が進んでいった。
落とす時に重要なのか、体重を計って、その体重の数値を手の甲にマジックで書かれた。
自分の体重がバレバレになるので、女性はこれが最大のネックになるだろう。
あれ? こんなに太ったっけ?
さすがに99㎏ ではないが。
そっか。 服装と装備も加算してるから、3~4㎏ 重くなってるんだぁ。
なおさら女性は困るだろう。
なるほど、それで西野七瀬は、落書きにして貰ったんだぁ。
これはさすがに、後で気づいたわ。
控えの椅子に座ろうとしたら、前に男性が一人座っていた。
「こんにちは」
「こんにちは」
日本人かい!!
割と年配のその男性は、一緒に旅行に来ていた仲間たちにあおられ、飛ぶところが見たいからと、1万円ずつカンパされ『選ばれし者』になったと言う。
1万円の負担で飛べるなんて、なんとも羨ましい話である。
こっちはすでに、5万円も払ってるのに。
さあ、さっさと嫌な事は終わらせてしまおう。
準備が淡々と進められたので、「それでは、トットと飛んで下さい」てな感じで、すぐに落とされるのかと思ったら、なかなか呼ばれない。
見たら、スカイジャンプの客も混じって、結構混んでいた。
スタッフが外にいっぱい居るのかと思ったら、それは全て客だった。
でも、その日本人がいたお陰で、いろいろ話も出来、幾分 気が紛れた。
もうかれこれ40分は経ったろうか。
すっかりヤル気をそがれて、緊張による妙な睡魔に襲われてしまった。
さっきから、生あくびが止まらない。
もう、怖いとかどうとかじゃなくて、早く済ませたいという気持ちで いっぱいだった。
ようやく外へ出るように言われ、今度は犬のように、手すりに繋がれてしまった。
事故防止のためなのだろうが、本当に処刑を待つ囚人のようで、ギャラリーも面白がって僕達を撮影していた。
残り3人… 2人となった時、急に列が加速したように感じた。
ヤバい!ヤバい!
早いって!!
忘れていた緊張感が、一気に高まった。
やっと前の人の順番が回って来て、励ましの言葉をかけた後、偶然こんな場所で出会った“盟友”と別れた。
いよいよ 自分の番だ!
なぁちゃんも座った処刑椅子に座らされた。
これが紀の善であんみつ食べた席なら、どんなに幸せだろう?
これ以上の贅沢は、望まないのに。
椅子に腰掛け、足かせを付けられたり、オプションのGo Proカメラや、音声を拾うマイクを付けられた。
その準備の間に、記念撮影が行われた。
右手で 『 4 』 左手で 『 6 』を表し、乃木坂46を 猛アピールする。
後でビデオで確認したら、
「 We Love 乃木坂46!」
と 連呼していた(笑)
それと、こんなプラカードを持たされ、、
正に THIS IS CRAZY!
数々ある札の中から、やはりこれを選んだ。
この日のために用意した乃木ジャーで飛べるなんて、感無量!
これ以上の囚人服は無いと思った。
一通り楽しい儀式が終わり、聖書が読まれないまま、処刑台へと促された。
僕にはもう、一刻の猶予も無かった。
つづく